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切手収集の歴史

 この世に始めて切手が登場したのは、1840年イギリスでのことです。「ペニーブラック」「ペンスブルー」とよばれ、当時の英国のビクトリア女王が描かれました。それまでの郵便制度は、配達員が郵便物を受け取る側から料金を徴集するというシステムで、しかも配達される距離によって料金体系が異なるという非常に手間のかかるものでした。

 そこで、のちの英国郵政長官となる「ローランド・ヒル」が、「料金を印刷した紙片、切手」を新しい郵便制度として取り入れました。この便利で画期的なシステムは、あっという間に世界中に広がりました。

 この「小さな紙片・切手」が、ものを集めるいう本能を持ち合わせた人々の興味を、くすぐらないはずがありません。そして1850年には既に切手商が出現し、コレクターにとっては、より多くの切手が入手できるようになりました。「切手収集」は切手誕生から短期間の内に、趣味の王道としての地位を確立していくのです。

竜48文
竜100文
竜200文
竜500文

「ブラックペニー」発売から31年後の明治4年(1871年)、我が国最初の切手が発行されました。上の4枚の切手がそれです。中央の額面をはさみ、向き合う2匹の竜が配置されることから「竜切手」とよばれています。非常に薄手の和紙が使用されました。


切手収集の魅力

 上の2枚は昭和12年(1937年)に発行された「乃木希典2銭」と「東郷平八郎4銭」といい所謂昭和切手(通常切手)の代表格的な切手です。それぞれ葉書と封書用に発行され、当時最も多く郵便に使われました。現在にたとえれば「メジロ50円」「ヤマセミ80円」の切手と同じ役割を担っていたと言えます。郵便が現在よりはるかに重要な通信手段であった当時、封筒や葉書に貼られた上の2枚の切手は、人々にとって生活に密着した、身近に感じられる存在であったと思います。

 ちなみに現在のカタログ評価額は、乃木2銭が230円(当店販売価格は80円)、東郷4銭が350円(当店販売価格は180円)です。60年以上も昔に存在した骨董品が、こんなお手ごろな価格で手に入れることができるのも、切手の魅力の一つです。



1961年発行 フランス美術切手
ブラック「使者」
マチス「青い裸婦」
セザンヌ「カルタ遊びをする人々」
フレネ「パリ祭」

切手収集のスタイル

 切手の集め方は現在「国別収集」と「テーマチク収集」の2つのスタイルに大別されます。「国別収集」とは特定の国の切手の全種を集めることを基本としています。「テーマチク収集」とは発行国は限定せず、あるテーマにそった切手だけを収集する方法です。対象となるテーマは動物、昆虫、植物、美術、航空機、スポーツ・・・・など、あげれば際限がありません。

「国別収集」、「テーマ別収集」の基本となるものがパケット(袋入り切手)です。当店でも多数の国別、テーマ別(トピカル)のパケットを取扱いしています。

テーマ別(トピカル)パケットの例
「サッカー」のパケット
「ディズニー」のパケット

 収集対象を日本の切手に絞るとなると、やはり型録コレクションが一般的でしょう。つまり、「さくら日本切手型録」などに従い、収集するという方法です。しかし、当然のことながら高額な切手や収集困難な切手も多数存在するため、完集を目標とすることは、経済面、精神面に於いても自分自信に負担を強いる事になります。

そこで、まず自分の生まれた年以降に発行されたものを徐々に収集するという方法をお勧めしています。そこから徐々に自分の収集スタイルや方向性が見えてくるでしょう。


オススメの琉球切手

1966-67年発行 熱帯魚シリーズ

切手を集めてみようかな・・・
でも何から手をつけたらいいの?
こういう人にオススメなのが琉球切手です。

琉球切手(沖縄切手)とは、戦後アメリカの支配下となった沖縄で、1972年に本土復帰になるまでの約23年間、使用されていた切手です。種類は全部で270種程度と少なく、価格的にも初期発行の極一部の切手を除き、手頃なものが多いのです。
とりわけ、記念特殊切手の大半は販売価格が100円以下で子供のお小遣いの範囲内でも容易に集められます。
また、図案的にも日本切手とは趣が異なるものが多く、原色を多用したそれは南国を彷佛とさせます。

ただ残念な事に、琉球切手は完集までの道のりが短い反面、飽きられ易いという面もあります。収集対象を使用済やカバーなど、さらに専門的な分野に移項した場合、研究材料となるマテリアルが乏しい事も一因でしょう。

それでも、まず本物を手にし最初の小手調べといった感じで、取り組んでほしいのです。今後の自分のコレクションのテーマを模索する上でも、琉球切手はうってつけの分野ですよ。

琉球切手(沖縄切手)は切手展示室でご覧いただけます。


ホームページ開設1年を迎え、感じること

 マルメイト・ホームページを開設して1年が経ちました。稚拙なサイトではありますが、現在1日平均100名以上の方々からアクセス頂いております。ネット発信の効果は当初の予想を上回るものになりました。長いブランクを経て収集を再開された方や、新規に収集をスタートしてみようという方々のきっかけとなれたのは嬉しい限りです。従来の顧客男女比からしても、とかく切手収集は男性の趣味という一面がありましたが(単に個人的な偏見かもしれませんが)、女性コレクターの多さも意外なものでした。

 一方、子供さんの収集人口は依然として減少の一途を辿っています。ほんの十数年前までよく見られた、放課後、我先にと競って店に駆け込んで来る子供達の姿が懐かしく思い出されます。今日のこのような状況を作り出してしまったのは、切手趣味のPR不足、そして切手収集の方向性を切手商サイドから推進してまった事など、私共ディーラーによる責任は大きいと思います。

 子供達を取り巻く環境、そして遊びの多様化は、以前とは較べようがありません。最近ベイブレード(ベーゴマの現代版)なるものが子供達の間では大変な人気の様ですが、テレビゲーム全盛時代に、こんなアナログ的な遊びが強い支持を得られているのです。この様な処にも子供の郵趣人口拡大のヒントが隠されているのかもしれません。

 ネットメディアを通して強く感じた事、それはコレクター予備軍(フィラテリーに限った事ではありませんが)や、毎日の生活の中に何か遊びを強く求めている方が大勢いらっしゃるという事です。

今後も郵趣という遊びを、多角的な方面からPRしていく必要性を感じています。

2002年4月


今、日本切手に望むこと

 最近発行されている日本切手の出来映えには閉口しています。切手濫発、そしてその質の低下は世界的傾向ではありますが、特に新発行の日本切手には実に魅力を感じられません。

 個人的好みの違いもあると思いますが、ヨーロッパ各国で発行される新切手はそのセンスの良さに、目を引くものが比較的多いように思います。これら外国切手と日本切手との違いは何から生まれてくるものか考えさせられます。

 かつて我が国で過熱的な切手ブームが起こったのは、もう半世紀近くも前の事です。まだカラー映画は総天然色映画と呼ばれた時代で、生活の中で「多彩」なものに触れる機会は、現代と比べるとはるかに少なかったのでは。そんな中で発行され続けた当時のカラフルな記念切手が、目新しく感じられ、垂涎の対象となるのは、しごく必然的であったと思います。だが今日、例えば毎朝目を通す新聞は洗練されたデザインのカラー広告が溢れ、テレビからは人々の心を掴む斬新なCMが洪水のごとく流れてきます。こんな中で私達の美的感覚は否応無しに培われていきます。

 このような状況の中で、芸術性に劣る今日の日本切手(乱暴な表現ではあるが)が人々の心を掴む事はできないし、まして新切手買い初心者、特に若い世代のコレクターを増やす事は難しいと思うのです。優れたデザイナーはたくさんいると思うのですが、切手の世界は無縁なのでしょうか。このままの状態が続けば、日本の切手までもが世界マーケットの中で格下げされるのではないか不安です。切手を単なる前払い証票にはしたくない。そして前世紀の遺物にはしたくない。

来春の公社化を機に、歴史的な日本切手の変貌を切望します。

2002年9月


こんな素敵な色合いとアングルの花切手が、イギリスから発行されています。

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